ベトナムでの撮影許可、どこに何を出すのか

投稿者 Taka | 9月 7, 2026 | コーディネート

ベトナムで撮影したい。そう決まったとき、最初に調べるのは「許可はいるのか」でしょう。

答えは、撮る内容と場所によって変わります。そして、どこに出すかで、かかる時間も費用も変わります。全体像を整理します。

二つの許可が、別々に必要です

混同されやすいのですが、ベトナムでの撮影には性質の違う許可が二つあります。

外国メディアの取材許可 外国の報道機関や制作会社がベトナム国内で取材・撮影を行うための許可です。ベトナム外務省が窓口になります。制作スタッフの名簿とパスポート情報を添えて申請します。

撮影場所の使用許可 実際に撮る場所ごとに、施設や管理者から取る許可です。国営施設なら管轄する省庁や市の部局、民間施設なら施設側との直接交渉になります。

前者が下りても、後者がなければ撮れません。逆も同じです。「政府の許可を取った」という言葉が、どちらを指しているのかは、必ず確認してください。

立会人が同行します。これは法定です

見落とされやすい前提が一つあります。

外国メディアの取材には、外務省傘下の団体から派遣される立会人の同行が法律で定められています。案件を選びません。全ての撮影に付きます。

現場での役割は、基本的に同行です。撮影に口を出すわけではありません。ただし何か問題が起きたときには、前に立って対応してくれます。現地の当局や施設との間で話がこじれた際に、この存在が効きます。

立会人はハノイから来ます。中部や南部の出身者がいることもありますが、勤務先がハノイなので、平時はハノイからの派遣です。ダナンでもホーチミンでも同じです。

費用は、クライアントへの実費請求になります。

  • ハノイから撮影地までの航空券
  • 空港までのタクシー代(往復)
  • 日当
  • 宿泊費
  • 食費

撮影日数が長いほど、この費用は増えます。見積もりに必ず計上される項目なので、予算を組むときに織り込んでおいてください。

なお、申請にかかる弊社の費用は、これとは別の手数料です。立会人の実費と手数料は、見積書上で分けて記載します。

中央と地方は、別の承認です

外務省の許可が下りても、実際に撮影する省や市の承認が別途必要になります。

ハノイで撮るならハノイ市、ダナンで撮るならダナン市。そして地方の承認は、中央より時間がかかることがあります。

日本から見ていると、ここが最も見落とされます。「政府の許可が下りた」と聞いて日程を確定させ、現地で止まる。この事故を避けるには、どちらの承認まで完了しているかを、常に分けて把握しておくことです。

[中央政府の許可だけでは、撮影できません]

費用は、場所ごとに桁が変わります

許可の要否と並んで読みにくいのが、施設の使用料です。

同じ場所でも、どこを通して依頼するかで金額が変わります。外務省を経由すると使用料が発生しない公共施設がある一方、歴史的建造物であるクラシックホテルの客室は大きく膨らみます。用途によらず料金が一律の施設もあれば、貸切が必須だと思われている場所が実は貸切なしで撮れることもあります。

日本の相場感が通用しないので、ロケ地の候補が出た段階で個別に確認するしかありません。

[撮影使用料は、場所によってここまで違う]

申請にかかる期間

許可証の申請そのものに、およそ2週間。

これにロケ地の選定と施設との交渉を加えると、撮影日の1か月前には手続きに着手する必要があります。日程が先に決まっている案件では、この期間を確保できるかが最初の分岐です。

[撮影日の1か月前から動く理由]

外資規制という前提

もう一点、日本ではあまり知られていない前提があります。

ベトナムでは、写真撮影と動画制作が外資規制の対象です。思想や表現に関わる領域とみなされるため、100%外資の法人では法律上できない仕事が出てきます。

現地に法人を作って撮影業を営もうとする場合、ここが最初の壁になります。撮影を発注する側にとっても、依頼先がどういう形態でその仕事を受けているのかは、確認しておく価値があります。


許可の要否は、企画の段階でお答えできます。「この場所で撮れますか」「この日程で間に合いますか」というご質問だけでも構いません。


ベトナムでの12年について、Kindleで一冊書いています。法人の設立と清算、政府との交渉について、より詳しく触れています。

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Written By

中野崇之

写真家として30年、メディア業界に東京で20年、東南アジアで12年。香港2年、カンボジア1年、ベトナム9年の在住を経て、現在は東京を拠点に活動しています。

現場で大切にしているのは、クルー全員が撮影に集中できる状態を保つことです。予定どおりに進まない日もありますが、そのときに現場の空気を重くしないことが、コーディネーターの仕事だと考えています。

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